MENU

ホーム » たべもの安全情報館 » 知って安心~トピックス~ »  食品の寄生虫 » 生鮮魚介類を介するもの クドア・セプテンクタータ

クドア・セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata) 粘液胞子虫類

 ここ数年間、全国的に、食後数時間で一過性のおう吐や下痢を発症し、軽症で終わる原因不明の食中毒が発生していました。 こうした事例の多くでは、共通して、鮮魚介類、特にヒラメの刺身が提供されていました。厚生労働省などが調査をしたところ、ヒラメに寄生したクドア・セプテンプンクタータ (Kudoa septempunctata)がヒトに下痢症状等を引き起こすことがわかりました。
 ヒラメを冷凍若しくは加熱すれば、クドア・セプテンプンクタータによる食中毒を防ぐことができます。
 一方で、ヒラメは生で食べることが好まれますが、冷凍すると品質が低下することから、現在、冷凍以外の食中毒予防方法について研究が進められています。 また、生産地(養殖地)では、出荷前のモニタリング検査や飼育環境の清浄化等の取組が行われています。

クドア・セプテンプンクタータの特徴

大きさ 約10マイクロメートル(μm)
特徴 胞子:ヒラメの筋肉中に寄生する。
クドア・セプテンプンクタータの生活環の詳細は不明。
 生活環が判明している他のクドア属の寄生虫は、一般にゴカイ等の環形動物と魚類との間を行き来して寄生しており、 魚から魚に直接感染して広がることはない。したがって、クドア・セプテンプンクタータも、養殖場やいけす内で 魚から魚に感染することはないと考えられている。

ヒラメ筋肉中の偽シスト 偽シストの中には多数の胞子が入っている クドア・セプテンプンクタータの胞子
【ヒラメ筋肉中の偽シスト】    【クドア・セプテンプンクタータの胞子】

ヒトへの影響

 クドア・セプテンプンクタータが多量に寄生したヒラメを生で食べると、食後数時間で一過性の下痢やおう吐などの症状が起きます。過去の事例から、一人当たり摂取する総胞子数がおおむね107個(1千万個)を超えると発症すると推定されています。 症状は軽度で、速やかに回復します。
 クドア・セプテンプンクタータによる食中毒は、8月から増加して9月と10月に多く、冬季には減少するという傾向がある、という報告があります。

寄生している魚

 ヒラメ
 なお、筋肉1グラムあたりのクドアの胞子数が1.0×106個を超えることが確認された生食用生鮮ヒラメは、食品衛生法第6条に違反するものとして取扱うこととしています。

予防方法

 マイナス20℃で4時間以上の冷凍、又は75℃5分以上の加熱で食中毒を防ぐことができます。

養殖場での対策

 これまでの調査から、クドア・セプテンプンクタータの寄生が確認された養殖場等が存在する 海域は限定的であり、養殖場等における寄生の拡大は、クドア・セプテンプンクタータが寄生した種苗(稚魚)の移動による可能性が 高いことが示唆されています。
 そこで、ヒラメによる食中毒を防止するため、養殖場では、現段階でできる様々な対策が進められています。
【養殖場で進められている主な対策】

  • クドア・セプテンプンクタータが寄生していない種苗(稚魚)を導入する。
  • 来歴・飼育履歴等が異なるヒラメが混合しないように飼育管理する。
  • ゴカイ等の環形動物がいない飼育環境を確保する。
  • 飼育履歴を適正に管理する。
  • 出荷前に、クドア・セプテンプンクタータの寄生がないことを検査で確認する。

 クドア・セプテンプンクタータのヒラメへの寄生を確実に防ぐための具体的な方法の確立は、クドア・セプテン プンクタータの生活環がわかっていないことから現段階では難しく、現在研究が進められています。

用語解説

  • 生活環
     寄生虫の卵や幼虫が発育・変態して成虫となり、次の世代を生じるまでのサイクル。 生活環が判明している寄生虫の場合、生活環のいずれかの段階を止めることで、感染を予防することができます。

参考資料

このページは東京都保健医療局 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 食品医薬品情報担当が管理しています。


▲このページのトップへ