加工食品は種類も多く、いろいろな製造方法で製造されています。加工食品に使用される添加物は、その機能、用途が多岐にわたるため、統一的な用途名によって分類することが難しいものもあります。製造用剤という分類は、このような添加物を便宜上まとめたものです。
☆かんすい
アルカリ成分が小麦粉のグルテンに働いて、柔らかく弾力性のある食感を作ります。また、小麦粉中のフラボノイド色素に作用して、卵黄色の色調に整えます。炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウムなどのうち一種以上を含むもので、粉末のものと液状のものがあります。
使用対象食品:中華めん、即席ラーメン、ワンタンの皮など
☆結着剤
ハムやソーセージ、かまぼこ、めん類などの組織の改良、すり身の冷凍によるたんぱく変性の防止、解凍時のドリップ防止などの目的で使用します。リン酸一ナトリウムやリン酸二カリウムなどの正リン酸塩と、ポリリン酸ナトリウムやメタリン酸ナトリウムなどの重合リン酸塩があります。
使用対象食品:ハム・ソーセージ、めん類、魚肉練り製品、漬物など
☆消泡剤
テンプラやフライなどの揚げ油や豆腐製造時の豆乳の泡を消して均一な製品を作るほか、果実ジャムの製造工程で発生する泡を消して加熱を均一にしたり、ウイスキーなどの酒精飲料の発酵工程での泡を消して正常な発酵を維持するなどの目的で使用されます。シリコーン樹脂が代表的なものです。
使用対象食品:揚げ油、豆腐、ジャム、蒸留酒など
☆抽出溶剤
大豆などの原料素材から、油脂などの成分を効率よく抽出・採取するために使用されます。植物油の抽出に使用するヘキサンや、ガラナ成分の抽出に使用するアセトンなどがあります。これらの抽出溶剤は、最終食品の完成前に除去されなければなりません。
使用対象食品:ヘキサンは食用油脂の抽出、アセトンは油脂及びガラナ豆の抽出に限り使用できます。
☆豆腐用凝固剤
大豆から作った豆乳を固めて豆腐にするために用いられる添加物で、いわゆる「にがり」もこれに含まれます。塩化カルシウムなどの塩化物、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、グルコノデルタラクトンなどのラクトン類のうち、1種類以上を含むものです。一括名で「豆腐用凝固剤」「凝固剤」と表示するか、物質名で表示します。
使用対象食品:豆腐、油揚げなど
☆日持向上剤
そう菜やサラダなどのように保存性の低い加工食品に、短期間だけ微生物の汚染を防いで腐敗や変敗を抑える目的で使用されます。消費者の健康志向によって加工食品の低塩・低糖化が進み、保存性の低下を補うために日持ち向上剤の役割が重要になっています。酢酸などの有機酸、グリシンなどのアミノ酸、リゾチームなどの酵素などがあります。
☆プロピレングリコール
着色料や香料などの添加物の溶剤や、カビ、細菌の静菌作用に注目して防腐剤として使用するほか、保湿性、湿潤性を持つことから、生めんなどの品質改良剤としても使用されています。生めん、いかくん製品では2.0%、シュウマイ、春巻などの皮では1.2%、その他の食品では0.60%という使用基準があります。
静菌:微生物の活動を抑え、それ以上に繁殖させないようにすること。 |
☆離型剤
パン生地や飴種などが機械や焼き型に付着するのを防ぎ、焼き上がったパンや菓子が型離れしやすくなるように使用します。植物油などの食品素材を使用することもありますが、流動パラフィンは耐熱性があり酸化されにくい特徴があります。
使用対象食品:パン、焼き菓子、飴、乾燥フルーツなど(流動パラフィンは、パンの離型に限り使用できます。)
☆ろ過助剤
食品製造中の精製ろ過工程で不純物を吸着し、ろ過を効率よく行うために加える不溶性の微粒子です。二酸化ケイ素や酸性白土、カオリン、ベントナイト、タルク、砂、ケイソウ土などの不溶性鉱物性物質があり、使用後に除去されます。
使用対象食品:砂糖、ビール、ぶどう酒、清酒、しょう油、食酢、清涼飲料水など。二酸化ケイ素は、ろ過助剤に限り使用できます。
|