疥癬(かいせん)
1.どのような病気ですか
疥癬(かいせん)の病原体となるのは、ヒゼンダニというダニです。
『疥癬』と『角化型疥癬(重症型)』の2つのタイプがあり、診断がそのどちらであるのかによって、治療や予防が大きく変わります。
概要 | 疥癬 | 角化型疥癬(ノルウェー疥癬) |
---|---|---|
ダニの寄生数 | 1000以下 | 100万から200万 |
患者の免疫力 | 正常 | 低下している |
感染力 | 弱い | 強い |
主な症状 | かゆみ、赤い湿疹、小豆大のしこり | 角質の増殖 |
部位 | 頭・頚を除く全身 | 全身 |
かゆみの強さ | 強い(夜間強く、不眠となることもある) | 人によって異なる |
ヒゼンダニは0.2ミリメートルから0.4ミリメートルの白っぽい体をしていますが、肉眼で虫体を見分けるのは困難です。
ヒゼンダニは、角層よりも内側に侵入することはありません。疥癬で発疹ができたり、かゆくなったりするのは虫体や糞に対するアレルギー反応によるものと言われています。
ヒゼンダニ雌成虫(体長0.4ミリメートル弱) 腹部に産卵前の卵を持つ。
ヒゼンダニの特徴
1 熱・乾燥に弱い
(家庭の乾燥機程度の50度10分で死滅します)
2 人の皮膚を離れると長生きできない
3 人肌の温度でないと動作が鈍くなる
指間の疥癬トンネル
2.どのようにうつりますか
1 皮膚と皮膚が接触することによる感染
一緒に暮らしているだけでも感染することがあります。雑魚寝病とも呼ばれます。
2 寝具の共有などによる感染
仮眠室や当直室を利用する機会の多い職場では、人肌の残っている布団などの共有で感染することがあります。
3 角化型疥癬(重症型)の患者さんを介した感染
寄生するダニの数が桁違いに多く、「疥癬」に比べると感染力が強くなります。
3.かかったらどうすればいいですか
皮膚科で治療をします。医師の指示に従って薬を飲んだり、塗り薬を使います。決められた期間治療すれば治る病気です。
4.心配なときはどうすればいいですか
以下のポイントに該当する項目が2つ以上あるときは皮膚科を受診しましょう。
1 夜間に増強する痒み
2 皮膚症状(湿疹やしこり)
3 家族に同じような症状を持つ人がいる
医師には以下のポイントで状況を伝えましょう。
1 いつ・どこに・どんな皮膚症状が生じ、拡がったか
2 痒みはどうか(夜間に強くなるか。不眠はあるか)
3 家族や身近な人に同じ症状の人がいるか
4 最後に一言「疥癬の心配はないですか」と聞いてみましょう。
5.家族が疥癬と診断されたらどうすればいいですか
家族が疥癬にかかった場合、同居している家族の方が予防的な治療を行うことがあります。これについては主治医に相談しましょう。
普通の「疥癬」の場合、治療が終わるまで、以下のような対応をします。消毒・殺虫剤使用などは必要ありません。洗たく・食器の共有なども通常通りです。
1 手洗いの励行(本人・ご家族)
2 体を拭くタオル、スポンジ、バスマットなどを共有しない
3 部屋にこまめに掃除機をかける・換気
患者さんは痒みで眠れなかったり、不安定になることがあります。食事を十分にとり、つめを切り、体を清潔に保てるように配慮しましょう。
角化型疥癬の場合は、消毒・殺虫剤使用が必要となります。保健所までご相談ください。
疥癬対応マニュアル
対応の相談や具体的な内容については、お住まいや施設を担当する保健所にお問合せください。
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お問い合わせ
このページの担当は 多摩立川保健所 保健対策課 感染症対策担当 です。