会合で配布された弁当を喫食した者のうち、約20名が喫食直後から喫食後4時間で吐き気、下痢、おう吐等を呈しました。
保健所が調査したところ、患者の共通食は飲食店が調理した弁当のみでした。弁当は、おにぎり、焼き魚、煮物等が盛り付けられ、当該飲食店とは異なる宅配業者によって患者らに宅配されました。
弁当の調理後、おにぎりは常温に置かれ、おかずは放冷が不十分なまま冷蔵庫に保管されており、食中毒菌が増殖しやすい状態でした。盛付けは、調理場の作業スペースが十分でなかったため客席で行われ、調理から盛付け終了まで7時間以上かかりました。弁当は保冷剤を入れたダンボール箱で宅配業者により患者らに宅配され、喫食するまでの2時間半そのまま保管されました。
検査の結果、おにぎりや複数のおかず、シンクなどの拭き取り検体、患者及び調理従事者のふん便からセレウス菌を検出しました。当該飲食店は注文があったときだけ弁当の調理を行なっており、弁当の提供数に見合う十分な調理スペースや器具はありませんでした。拭き取り検査で器具や手指から食中毒菌を検出したことから、余裕のない施設規模での調理が長時間の盛付けや常温保管につながり、食中毒菌による汚染、増殖を招いたものと推測されました。また、宅配後すぐに喫食されるように宅配時間を調整することや、お客様が早く食べるように情報提供することが必要と考えられました。
この事例に特に必要な対策
- 手洗いを徹底し、盛り付けを行う際は食品に手が直接触れないように手袋を着用しましょう。
- 厨房の規模や調理能力に見合った取扱量としましょう。
- 一度に大量の米飯やめん類を調理し、作り置きしないようにしましょう。
※セレウス菌による食中毒の多くは、米飯やゆでたパスタ等の常温放置が原因となっています。
- 調理した食品を冷蔵庫に入れる場合は、放冷し、粗熱をとってから入れましょう。(熱いままだと庫内温度が上がり、菌が増殖します。)
- 盛り付けや放冷等も調理行為ですので、厨房内で行いましょう。
- 盛り付けた弁当はしっかりと放冷してからふたをしましょう。
- 宅配業者には温度管理を徹底するよう伝えましょう。
- お客様にも、宅配された弁当は、到着後、すぐに食べていただくよう、口頭や弁当へのシール貼付などで伝えましょう 。
原因物質
セレウス菌についての詳細はこちら
|