トップページ > 食中毒 > こうしておこった食中毒【事業者編】 >しめサバによるアニサキス食中毒
10月末、医療機関の医師から「本日、腹痛を訴え受診した患者の胃カメラを撮影したところ、アニサキスと思われる白色の虫を確認した。患者は3日前に刺身類を食べている」との連絡が保健所にありました。
保健所が調査したところ、患者は2名で飲食店にてしめサバや刺身を喫食していました。その翌日に腹痛、吐き気の症状を呈し、医療機関に受診したところ、医師が胃カメラにより患者の胃壁に窄入している虫体を発見して摘出しました。患者はこの処置により快復し、虫体を検査したところ、アニサキス科の線虫であることが確認されました。
また、患者が喫食したものと同一仕入で同一仕込品のしめサバを検査したところAnisakis simplexを1個検出されました。
これらのことから、保健所は同飲食店が調理提供した「しめさば」を原因とする食中毒事件と断定しました。
患者が喫食したメニューはから揚げ、イカ焼き、サラダ、刺身類(タコ、サンマのたたき、カンパチ)、しめさば、アルコール類でした。
このうち、サンマのたたき、カンパチ、しめさばは冷蔵で仕入れられ、加熱せずに提供されていました。また、他の魚介類は冷凍で仕入れられていました。
しめさばを調理した従事者はアニサキスの知識がある程度あり、真サバを下す際と酢〆する際の2度アニサキスを目視で確認していました。その際、アニサキスを発見し除去したとのことでしたが、完全に除去しきれなかった結果となってしまいました。また、しめさば提供の際は表面をバーナーであぶっていましたが、焼き色をつけるのが目的であり、アニサキスを死滅させることができませんでした。
アニサキスの食中毒を予防するためには加熱調理が最も効果的です。マイナス20℃24時間以上(中心部まで完全に)凍結すると死滅しますが、通常の料理で用いる程度のワサビ、醤油、酢などではアニサキスは死にません。また、魚介類を生食する際には、より新鮮なものを選び、早期に内臓を除去し、低温(4℃以下)で保存してください。
また、しめさばを作る場合、塩じめ工程でマイナス20℃24時間以上(中心部まで完全に)凍結することも予防法の一つです。