トップページ > 食中毒 > こうしておこった食中毒【事業者編】 >ポテトサラダによるサルモネラ食中毒
8月上旬、市内の病院医師から、「市内の研修所で宿泊研修中の研修生の多くが、食中毒症状を呈している」旨の届出が保健所にありました。
保健所が研修所を調査したところ、研修生は106名おり、このうち74名が腹痛、下痢、発熱等の症状を呈していました。研修は、コース別に数日から1ヶ月の期間行われており、その間、研修生は、研修所内の食堂で食事をとっていました。
患者らの共通食は、研修所食堂での食事のみであり、発症前日の夕食及び、多数の患者ふん便から同じ型のサルモネラ(サルモネラ・エンテリティディス)が検出されたことから、これを原因とする食中毒と断定しました。
原因となった夕食のおかずは、茶碗蒸し、サバの塩焼き、ポテトサラダでした。このうち、ポテトサラダから大量のサルモネラが検出されたことから、ポテトサラダが原因食品と断定されました。
ポテトサラダは、ボウルに具、マヨネーズ及び調味料を入れ、混ぜ合わされて調製されていました。ところが、このボウルは、ポテトサラダを調製する前に、茶碗蒸し用のとき卵を作るために使用されていました。そして使用後、調理人は、このボウルを洗浄せずにそのままポテトサラダの調製に使っていました。このため、鶏卵からのサルモネラがポテトサラダを汚染し、調製後から提供するまでの間に増菌した可能性が考えられました。
鶏卵のサルモネラ汚染率は、0.02%~0.03%と低いのですが、1度に大量の卵を使用する施設では、サルモネラの汚染卵を使用する機会は非常に多くなります。
鶏卵を使った食品は、十分に加熱し、使用した設備、器具類や手指の洗浄・消毒を徹底し、他の食品への二次汚染を防ぐなど、常にサルモネラの汚染のリスクを念頭においた取扱いが大切です。