トップページ > 食中毒 > こうしておこった食中毒【事業者編】 >飲用水によるカンピロバクター食中毒
5月末、「市内の会社員10名が、吐き気、おう吐、下痢、発熱等の症状を呈している」との届出が医師から保健所にありました。
保健所が調査したところ、患者はいずれも発症の2日前の昼食時に、飲食店Aで会食していました。
飲食店Aのある敷地内には、飲食店が2軒、豆腐製造所、酒類製造所が隣接しており、いずれも同じ営業者が経営していました。このうち、2軒の飲食店の利用者及び豆腐製造所で製造された豆腐類を食べた多数の者が同様の症状を呈していることが判明しました。
患者の喫食状況から、施設内の飲用水(井戸水)のみを飲んで発症している者がいたこと、患者ふん便及びこの井戸水からカンピロバクターが検出されたことから、これを原因とする食中毒と決定しました。
この施設内には、複数の給水系があり、いずれも、湧水、沢水、井戸水を使用していました。このうち、原因となった水系は、近隣の川の伏流水を水源とする井戸水で地下13mから水をくみ上げ、地下貯水槽に貯水した後、使用していました。保健所が調査したところ、給水施設の構造面と取扱いについて、以下の問題点がありました。
以上のことから、汚水が井戸又は貯水槽に混入したことで水がカンピロバクターで汚染され、さらに、水は塩素処理も行っていなかったことから、汚染水が、殺菌されずにそのまま客の口に入ったと考えられました。
井戸水や貯水槽水は、動物のふん便が汚染源となって、カンピロバクターや下痢原性大腸菌に汚染される場合があります。
これらの水を食品に使用する場合は、定期的な水質検査を実施することはもちろん、状況に応じて塩素殺菌処理を行うことも必要です。